児童生徒等がエピペンを処方され、携帯している場合、そのエピペンを学校が管理する場合と学校が保管場所を提供しない場合があります。
1.学校が管理する場合
学校や児童生徒等の状況は様々であり、画一的に学校での保管方法を指定することは出来ません。しかし、1)利便性と2)安全性を考慮した上で、それぞれの学校での最善の保管方法を検討する必要があります。
1)利便性
エピペンの注射が必要となったとき、速やかにエピペンを現場へ持参できるような保管場所や保管方法を考慮してください。また、児童生徒等が登校時にエピペンを保管場所へ持参し、下校時に受け取って帰宅する上で、負担にならない利便性の高い場所が望ましいです。
2)安全性
他の児童生徒等がエピペンに触れ、誤射等の事故が起きないようにすることが必要です。このため、児童生徒等の目に触れやすかったり、手が届きやすかったりする場所を避けます。実際に多い対応例は以下のようなものです。
(例)
エピペンを処方されている児童生徒等が登校とともに、一元化された管理者(校長、副校長、担任、養護教諭等)に赴き、校長室、教員室、保健室等に預ける。
保管場所は固定され、全ての教職員がその場所を把握する。また、管理者が不在の時などの対応方法を事前に十分協議して決定しておき、その内容も全ての教職員が把握する。
児童生徒等は下校時に管理者に赴き、エピペンを受け取り、帰宅する。
2.学校が保管場所を提供しない場合
1)利便性
エピペンの注射が必要となった時に、児童生徒等が保管場所を第3者に伝えることが困難な場合があります。このため学校は、児童生徒等が日頃どこにエピペンを保管しているか事前に聞いて、把握しておく必要があります。
2)安全性
学校が保管場所を提供しない場合、児童生徒等はエピペンを教室のランドセルや机、ロッカーなどに保管することが多いです。この場合、不特定多数の児童生徒等がエピペンに触れることが可能となり、意図せずまたは意図的にエピペンに触れる可能性が高まります。その結果、他の児童生徒等がエピペンを誤射するなどの事故が発生する可能性があります。学校はエピペンの保管場所を提供しない場合、誤射事故に対するリスク管理(アレルギーがある児童生徒等及びその他の児童生徒達への注意喚起など)を徹底する必要があります。また、万が一の誤射事故への対応も事前に準備しておく必要があります。
なお、エピペンは常温管理であれば、使用期限内の品質に問題は生じません。このため、冷蔵庫での管理はむしろ不適当です。
(参考)野外活動や修学旅行に行く場合の管理
アレルギー対応食に不慣れなホテルや旅館、ソバ打ち体験等、校外活動や修学旅行は普段の学校生活よりもアナフィラキシー事故の発生する危険性が高まります。事前の打合せを綿密にするのはもちろん、エピペンの管理や事故を想定した準備も重要です。
1)事前確認
事前に児童生徒等がエピペンを携行するかどうかを保護者に確認し、行程中の管理を話し合っておきましょう。
2)行程中の管理
学校は、当該児童生徒等の行程を常に把握します。特に小グループ行動や自由行動の時には、目が離れやすいので注意が必要です。
学校がエピペンを管理する場合、管理者は特定の教職員に定めます。当該児童生徒等の行程とともにエピペンも移動する必要があるので、管理者は児童生徒等と行動を共にします。自由行動の時などは、一時的に児童生徒等に管理を任せることも考える必要があります。
3)現地の医療機関の確認、確保
エピペンを使用した場合には、その後医療機関を受診する必要があります。また、事前に行程先の医療状況を十分に調査しておきましょう。事故時に児童生徒等の搬送先として想定される病院には、事前に学校から了解を得ておくと、万が一のときに迅速に対応できます。