厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」に基づいて開始し、進めていきます。予防目的で遅らせたり、逆に早めたりすることは勧められません。また、食物アレルギーであっても、除去を指示された食物は除去し、それ以外は「授乳・離乳の支援ガイド」に準拠して進めます。湿疹があれば、軟膏等で湿疹を改善させてから開始することが望ましいです。
食物アレルギー児の校外活動で最も配慮が必要なのは、旅行中および宿泊先での食事です。原材料表示が記載されている市販の食品と異なり、旅行・宿泊先での食事の調理担当者が食物アレルギーに対応できるか、事前に外食先や宿泊先に確認を取ってもらうなどの配慮が必要です。主治医に作成していただいた生活管理指導表をもとに、学校等の関係者の方々とよく相談してください。また、エピペンを携帯するなど、もしもアレルギー症状が出た際の対応を確認しておく事も大切です。
乳幼児の場合、原因は鶏卵・牛乳・小麦が多く、これらの食材は年齢が進むと食べられるようになることが多いです。一方、学童期から成人の場合は、甲殻類・小麦・果物・魚類・そば・ピーナッツが原因食となり、時間が経っても治りにくい傾向があり、時には生涯にわたって除去を必要とします。
特異的IgE抗体検査が陽性でも、実際に食物アレルギーの症状が出るとは限りません。すべてを除去する必要がないことも多いので、食事制限については医師とよく相談しましょう。
加工食品では、同じ施設内でアレルギー物質を含む食品の製造・使用があり、ごく微量でも混入してしまう場合、注意喚起の表示を行うことが認められています。基本的にはその食品には含まれないため除去の必要はないですが、主治医の先生に確認しましょう。
除去により栄養が偏らないように、代替え食品を有効に利用しましょう。・牛乳を除去する場合:タンパク質・カルシウムを補うことが必要です。カルシウムの補給にアレルギー用ミルク・豆腐・骨ごと食べられる小魚・海藻を利用しましょう。お菓子には豆乳や豆乳ホイップ、ココナッツミルクなど、グラタンやスープには米粉や片栗粉、すりつぶしたジャガイモ等を用いることができます。・鶏卵を除去する場合:タンパク質不足を補うことが必要です。魚介類・肉類・大豆製品・乳製品類を利用しましょう。揚げ物の衣には片栗粉や米粉、お菓子にはつぶしたバナナを用いるなどいろいろなレシピが存在しますので、ぜひ活用してください。
食物アレルギーがある場合でも、基本的に母乳育児を止める必要はありません。また、発症予防のための母親の食物除去は一般的にはすすめられません。
アレルギー素因のある方は、年齢と共に感作数が増加し、いわゆる多重感作の状態になることがあります。例えば、ダニのみに感作されていた方がスギ花粉に感作され花粉症を発症したりします。その後、その他の花粉に感作がすすみ、さらにシラカンバやハンノキ花粉に感作がすすむと花粉・食物アレルギーを発症します。最近は、小児の多重感作が増えてきています。ダニの舌下免疫療法で感作数の増加を抑制できたという報告もあり、今後の重要な検討課題です。
アレルギーの発症にはIgE抗体が関わります。アレルゲンに反応するIgE抗体(抗原特異的IgE抗体)が、体内に侵入したアレルゲンに結合し、アレルゲンの情報をアレルギーの細胞(肥満細胞)に情報を伝えます。肥満細胞からはアレルギー誘発物質(ヒスタミンなど)の産生されますが、過剰にな反応を起こすとアレルギー物質が反応した臓器ごとに有害な反応を引き起こします。これをアナフィラキシーと呼び、特に血圧低下や意識障害といった重篤な症状を起こす状態をアナフィラキシーショックと呼びます。
アナフィラキシーは、反応を起こした臓器・器官により症状が異なります。そのため、多種多様の症状があります。皮膚(紅潮、じんま疹、血管浮腫など)、呼吸器(鼻閉、鼻汁、咽喉頭違和感、咳嗽)、消化器(腹痛、嘔気、嘔吐)、心血管系(胸痛、頻脈、血圧低下、失神)、中枢神経系(不安、拍動性頭痛、不穏、めまい)などが主に挙がります。そのため、特に初発時は、他疾患との鑑別が重要ですので、症状出現の際のエピソードを十分気に留めるようにしてください。
アレルギーに関するキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。